リハビリテーション場面や機能訓練の場で歩行測定はほぼ確実に行われる検査でしょう。
患者さんの現在の歩行状況を把握し、機能訓練などの改善効果を測るひとつの手段として大変有効です。
ストップウォッチと目視での測定をしていた時代から、デジカメやスマホが登場し動画での歩行測定が簡便に実施できるようになりました。
もちろん本格的な歩行分析には高価で高性能な分析機器が用いられていましたが、高性能な機器を揃えている施設は限られています。
最近では加速度センサーやアプリを使用して、歩行スピードや歩幅の計測だけでなく重心の移動まで推定できるツールが増えてきました。
ここでは、厳選した3種の歩行測定ツールを、それぞれの取扱いや測定項目の違いを比較して導入イメージと導入メリットをわかりやすく解説していきたいと思います。
歩行測定デバイスAYUMIEYE(株式会社早稲田エルダリーヘルス事業団)
※AYUMIEYE月額プランが新登場! 月々10,000円からの歩行測定! 契約期間の縛りなし!
AYUMIEYEは手のひらサイズの3軸加速度センサーを第3腰椎付近に専用ベルトで装着して歩行を測定します。
歩行距離は6~10mの範囲で選択できます。
<本体とiPad>

<装着はこんな感じです>

【わかること】歩行速度、歩幅、身体の揺れ具合や歩行周期のばらつき
次の3つのポイントで歩行分析をしています
- 推進力:歩行速度、歩幅より点数化
- バランス:身体の揺れ具合より点数化
- リズム:歩行周期のばらつきより点数化
<iPhoneでの測定結果画面>

測定結果はサーバー上で一元管理され、iOSアプリやPCを通じて確認できます。
3軸加速度センサーにより、前後左右上下方向加速度を用いて踵接地の瞬間や左右等を規定します。
上下前後左右への自然な小さな揺れであれば、「スムーズな歩行ができている」として捉えることが出来ます。
わかりやすい結果の表出
総合評価得点として点数が表示され、総合点の構成要素である、推進力・バランス・リズムのそれぞれも点数表示がされます。
総合評価点数
- 推進力(点)
- バランス(点)
- リズム(点)
<評価表>

医療機関のリハビリテーション室をはじめ、クリニックや通所リハ、デイサービスといった幅広いところで使用されています。
使用の感想
<患者さん・利用者さん>
「えっつ、そんなん測れるの?測って測って!!」
「次の測定はもっと良くなるように、と運動の励みになります。」
<理学療法士>
「数値で出すことにより日々の取組を実感してもらえる」
「ほとんどの方が測定に前向きで興味津々です。」
【AYUMIEYEの利点】
AYUMIEYEで得られるデータにバランスマップという表記があります。 歩行時の揺れを見える化したマップです。マップの形状により歩行の特徴が判別でき、蝶々のような形になるのが理想的な歩き方とされています。 歩行時に気を付けるポイントやトレーニングメニューを知る事もできます。
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※おすすめ場面:医療機関リハ室、通所介護、通所リハ、訪問看護・リハ、健康教室、老人ホームなど
歩容測定ツール AM Unit(リーフ株式会社)
AM Unitは何も装着せずに機械の前を歩くだけで測定が完了します。
※AM Unitにスポットレンタルが新登場! 歩行測定イベントに35,000円から使える!
<本体とタブレット>

装着物が不要なため、非接触かつソーシャルディスタンスを保てる環境での測定が可能です。


【わかること】歩行速度、歩幅(左右)、重複歩距離(左右)、歩数、ケイデンス
本体にはレーザー距離センサ―が内蔵されており、センサーの前を脚が通過すると自動で測定が開始されます。測定に必要な歩行距離は5mほどです。5mを通り過ぎることを自動で認識して測定は終了となります。
測定結果は瞬時に自動で計算され、専用タブレットで確認することができます。
こちらもデータはクラウド上で管理されています。
<結果表>

利用者登録件数は最大で1000件、歩行データは約48,000件の保存が可能です。
<評価表>

レーザー距離センサ―による精度の高い測定と、自動で計測が行われるところが特徴で、測定の再現性が非常に高いといえます。
これまでのストップウォッチを使用した歩行測定方法では、スタート地点を過ぎたことを目視で確認してタイム計測をしていたので、測定ごとのバラつきや測定者ごとのバラつきがどうしても生じていました。
動画を撮って歩行距離から歩数を割り出す計算よりも、正確に歩幅を知る事が出来ます。 また、何も装着する必要がないので、測定の準備や実施に要する時間が大幅に短くて済みます。測定したデータは過去4回分を一覧比較して表示されます。前回との比較は数値と矢印でわかりやすく表示しています。
レーザーセンサーならではの機能として、足の軌跡をフットプリントとしてビジュアル的に把握することができます。左右のどちらかに偏った歩容であったり、分回し歩行の軽減度合いなども視覚的に確認することができます。
<フットプリント> ~足の軌跡イメージがわかります~

本体は約3.5kgと軽量かつスタイリッシュなフォルムにデザインされていますので、持ち運びも楽々です。
医療機関での測定や介護施設での測定に大いに活躍してくれることでしょう。
使用の感想
<患者さん・利用者さん>
「機械の前をただ歩くだけで測れるなんてすごい!」
「いつも歩幅を大きく、と声を掛けられているが実際に測ってもらうと自分の歩幅を実感できる。」
<通所スタッフ>
「非接触なので、利用者との距離を適切に保ちつつ測定が実施できる。」
「介護士が測定することも可能なので、療法士は機能訓練業務に集中できる。」
【 AM Unitの利点 】
非装着・非接触で測定ができる点が特徴です。コロナ禍でも身体評価や測定機会を確保していくことは重要です。参加者や測定者との距離を保ちつつ歩行測定が可能です。機器の前を通過することで測定を行うため、再現性が高いのが特徴です。
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※おすすめ場面:医療機関リハ室、通所介護、通所リハ、健康教室、老人ホームなど
トルト(旧名:ケアコチ)(株式会社エクサホームケア)

歩行している動画をアプリを通じてクラウドへアップすると、自動で歩行レポートを作成してくれます。スマホやタブレットのカメラで撮影するだけなので、こちらも何も装着する必要はありません。
【わかること】歩行速度、リズム、ふらつき、左右差
速度・リズム・ふらつき・左右差をそれぞれ5点満点で判定し、ホコ点という総合得点を表示してくれます。
歩行の動画から骨格推定を行う人工知能(AI)が使われています
5mの距離を歩くだけで、骨格推定から歩行速度やリズムなどの項目を自動で算出します。結果表には、総合コメントや注目したポイント、改善のポイントが記載されています。
歩行の状況によって、どのような運動をしていけば良いかを教えてくれます。
もちろん、他の製品と同じように過去のデータが蓄積されていくので、結果表には過去データとの比較も一目でわかるように工夫されています。
<評価表>


使用の感想
<患者さん・利用者さん>
「自分の歩き方の特徴がわかるので、また頑張ろうと思う。」
「イラストやグラフなどが一目でわかる工夫がされているので理解しやすい。」
<理学療法士>
「総合コメントなど結果をわかりやすく表現してくれるので説明しやすい。」
「測定にかかる時間が大幅に短縮できるので大変助かる。」
【 トルトの利点 】
専用の器具は不要。iPhone・iPadがあれば測定が可能です。非装着・非接触での測定が可能です。歩行状態に応じて、転倒リスクをマップで表示してくれます。わかりやすいイラストで歩行速度やふらつき度合いを表示してくれます。改善ポイントとして、おすすめの運動を提示してくれるので励みになりますね。
※おすすめ場面:医療機関リハ室、施設、通所介護、通所リハ、訪問リハ、健康教室、老人ホームなど
製品 | AYUMIEYE | AM Unit | トルト |
測定方法 | 加速度センサー | レーザーセンサ | AI(骨格推定) |
装着部位 | 第3腰椎付近 | 不要 | 不要 |
歩行速度 | 〇 | 〇 | 〇 |
歩幅 | 〇 | 〇 | ― |
リズム | 〇 | ― | 〇 |
左右差 | 〇 | 〇 | 〇 |
ケイデンス | ― | 〇 | ― |
重複歩距離 | ― | 〇 | ― |
運動指導 | 〇 | ― | 〇 |
屋外使用 | 〇 | ― | 〇 |
測定距離 | 6~10m | 5m | 5m |
再現性 | 中 | 高 | 中 |
購入形態 | 月額利用 | 販売・リース | 月額利用 |
価格 | お問合せください | お問合せください | お問合せください |
いずれの機器も、測定にかかる時間と手順の短縮が可能です。 またデータ収集の自動化により転記作業が不要になります。 測定については、専門的スタッフでなくても実施できるので、 測定は介護スタッフに任せて、理学療法士は日々の機能訓練に集中することができます。 人員不足や業務の効率化に繋がると期待されています。
いかがでしたか?
加速度センサーやレーザー測定による高精度化。人工知能を活用した歩行分析と、最新技術がふんだんに使われた歩行測定ツールをご紹介しました。
今回ご紹介した3つのツールは、測定方法や測定の内容、使用に適した場面などそれぞれに違ったメリットがあると思います。
歩行測定という定期的に行うことを簡便にデータ化することができます。
これから増えていくリハビリ場面でのロボット活用のエントリーモデルとしておすすめできるツールです。
これらのツールに慣れていくことで、ロボットの導入や活用、リハビリ場面のスマート化が実現していくことでしょう。
ご自身の病院や施設の特徴に合わせて使用する製品を決めていってくださいね。
機器の貸し出しも受け付けていますので、まずは体験をしてから決めていくのが良いと思います。
Robo+.net(ロボタスネット) 介護ロボット活用支援チーム 作成者:逢坂大輔